伊豆半島の天城周辺にのみ分布するアマギササキリモドキというササキリモドキの仲間がいます。
生態がよくわかっておらず、見つけるのが困難な珍種です。
▼アマギササキリモドキのページ
今回はこのアマギササキリモドキの飼育記録を紹介します。
まだまだよくわかっていない部分もあるので、飼育方法というよりはあくまでも飼育記録といった位置付けで見ていただければと思います。
■交尾
野外で採集したペアをケースに入れるとすぐに交尾しました。
■産卵
スギの樹皮中や生け花用の吸水スポンジに産卵しました。
他にスギの枝もケースに入れておきましたが、産卵した形跡はありませんでした。
■孵化
多くは3月下旬から4月に孵化しましたが、5月上旬でも孵化する個体が見られました。1年卵だけではなく、2年卵もありました。3年目以降もあるかは不明です。
孵化する個体数がとても少なく、毎年数匹しか生まれません。
産卵床や冬季の卵の管理が悪かったのかもしれません。
■1齢幼虫
4月7日孵化。体色は黄緑色で私が育てたササキリモドキ類の中ではかなり濃い部類です。
エサはリンゴとニンジン、テトラミン(熱帯魚のエサ)を与えました。
■2齢幼虫
4月20日脱皮。体色がさらに濃くなり、背面と体側に美しい水色のスジが出てきました。
■3齢幼虫
4月30日脱皮。体色は2齢幼虫とさほど変わりませんが、翅芽が見えるようになりました。
■終齢幼虫
5月11日脱皮。3回目の脱皮で終齢幼虫になりました。
リンゴとニンジン、テトラミンの他にキイロショウジョウバエを与えてみると食べてくれました。
■羽化
5月30日羽化。残念ながら羽化の瞬間は見逃しましたが無事羽化してくれて何よりです。
当然のことながら飼育下では成長の速度が速いため、この時期の野外ではまだ成虫は見られないと思います。
■ケースのレイアウト
飼育ケースはごく普通のプラケースを使用しました。
コケ類が付いているスギの樹皮を床や壁面に配置して、多少湿り気があるくらいの湿度を保ちました。厚い樹皮を置いておくとそこに産卵してくれます。
また、植物用の吸水スポンジにスギの葉や枝を刺して、足場を作りました。やはり落ち着くのかスギの葉にいることが多かったです。
■野外で未確認の幼虫
アマギササキリモドキは野外で幼虫が確認されたことはなく、私もそこまで多く調査したわけではないのですが、見つけたことは一回もありません。下草をスウィーピングしたり、夜間にルッキングをしましたがダメでした。幼虫の間はずっとスギの樹冠部にでもいるのでしょうか。
次の目標はアマギササキリモドキの幼虫を野外で見つけることですかね。
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